はじめまことの新文芸研究所

私が抱えている新文芸リストをもとに、新文芸を分析し記事にしていきます。boothにてデータリスト販売中→https://kaz-lightnovel.booth.pm/items/5739044

読書備忘録 2024年11月

 文フリ終わった後に「この打ち切りラノベがすごい!2025」の話をしたらめっちゃ伸びてしまって後に引けなくなりました。タイトルを変えるか否かはサークルの面々と話し合いつつ決めます。

 

 さて、個人的な大ニュースとして11月は積読が減りました。最後に積読が減った月は2024年6月だったので三年半の間毎月積読が増え続けたことになります。積読って減るんですね。まあ今月購入料が少なかった分の金は全部文フリで吹っ飛んだんですが。というわけで11月に読んだ本は36冊でした。先日書いたこのラノ範囲ラブコメ30選のために過去の作品もちょくちょく読んだのでその辺も含めて紹介したいと思います。

 

1.アラサーがVTuberになった話 サブチャンネル

 5巻は10月に読んだんですがこちらは11月入ってから読みました。全体的にあまりにも私得すぎる。私はラブコメの半分はヒロイン視点であれと思うくらいにヒロイン視点好きなんで基本的に主人公一人称で進む物語の4冊分のヒロイン視点詰め合わせとか出されたら好きにならないわけないんですよ。恋する乙女は最強かわいいので。しれっとモブ女子堕としてたりと私が欲しかったこの世界の情報が全部入っててあまりにも助かる。委員長掲示板の新コテハンキャラになりませんか。つーかそもそもこの主人公利他に全てを捧げるタイプの狂人なので他者視点は全般的に破壊力が高いんですよ。神坂よ見ているかお前客観視したらこうだぞ少しは人間を学べ。

 しかし神坂怜という人間は炎上と引退という概念に対する強烈なアンチテーゼなんだなとmikuriママの話読んで思いました。あまりにも引退したVへの作者の感情と祈りの結晶すぎる。つーかママがかわいい。ママが可愛すぎる。もうくっつけよと少しは思うけどでも彼女に課せられた役割はママでしかないということに思い至り狂乱しそして虚無へと帰る。まあ妹ちゃんと同じ枠ですからね。本編にももっと出てきて良いのよ。

 そして株を上げたアレちゃん。「いつかきっと貴方も心の底から笑わせてみせるよ。」にグッと来ない神坂ファンはいないんですよ。ガチ恋ネキにカス呼ばわりされてたけどめげずに頑張ってほしい。最近神坂荒らしが少しずつ減ってきたからか表立ってアタックかける人増えてきましたからね。メスの顔最古参として頑張ってほしいところです。

 あと妹ちゃんね。この作品で二番目に他者視点が必要な人。普段表に出るブラコンがあまりにも氷山の一角すぎる。最近コミカライズで唯一のヒロインとして頑張ってますがお前兄のこと好きすぎるだろ。ブラック企業時代はほとんど会ってなかったらしいのでそりゃあこの兄壊れるよ。

 そして今回の目玉、挿絵のついた駄馬くんとガチ恋ネキ。なぜ「話のわかるユニコーン」に清楚系ガチお嬢様という属性をくっつけたのか。いやほんと駄馬くんも美少女だとわかれば掲示板回が楽しくて楽しくて仕方がない。つーかガチ恋ネキはもう好きじゃんだし好きというレベルじゃないじゃん。神坂ガールズたち見てごらんこれがガチ恋だよ。こういう人になってはいけません。

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2.千早ちゃんの評判に深刻なエラー 2

 一巻読んだ時にここに書いた記憶がないですが2巻読んだことでこの作品の面白さの言語化に成功したので俄然面白く読めるようになりました。つまるところキャラクターの「コミュ障社不」という属性の書き方がうまい。「コミュ障社不」をそのまま逆勘違いものに必要な「価値観の差」に結び付けてるのがまず上手くて、自分の都合だけでとった行動を周りの「社会人」が対極的な視点で勝手に解釈するという一連の行為がごく自然に行われている。本人はそれなりに賢いのでその場の得られた情報から少なくとも自分にとって最適な行動をとり続けているし、最終的にはある程度自分がやらかしたことに自覚的になるので逆勘違いものが基本嫌いな私も読みやすくて助かります。理工系の知識と咄嗟の判断力その他一人で活動するための知識能力がかなり高い代わりに地政学その他社会学に弱いのコミュ障の暗喩として捉えるとあまりにも酷すぎる。陰キャ社会学やったっていいだろ!!

 コミュ障がコミュ障のまま成り上がる話を書こうとするとどうしてもコミュ障故の強みを活かす必要があり、それが結果として千早ちゃんの不憫に繋がっているのも良い。なぜなら不憫なコミュ障っ子はかわいいので。本人の意思は知らんが。とりあえず給湯器に返事する千早ちゃんは解釈一致がすぎる。

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3.ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 14

 やっぱSAOAGGOの非SJ回は最高ですね。SJももちろん激アツなんですがこちらはこちらでゆるくて好き。緊張状態で輝くキャラと弛緩状態で輝くキャラを同一キャラにできるのはさすが時雨沢恵一だなとずっと感じています。ゲームするのに常に緊張してる人間なんていないですからね。MMTM達ですらちゃんと弛緩状態をやっている。アニメもワン・サマー・デイに入ったし楽しみですね。

 レンちゃんの速さが今日も輝いてて素晴らしい。おそらく世界で唯一の対物ライフルの弾丸を用いて加速した人間になったと思われます。他のライフルじゃダメだったのか。あと凍った川のステージに「ゆく河の流れは絶えずして」ってつけるセンスください。

 しかし「強いババア」を書くのにVRMMOは最適すぎるのに今まで頑なに出さずここまで引っ張ったんだな。時雨沢恵一は大好きなのに。

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4.余命わずかなキミと一緒に、初恋を探しに行く

 この作品が面白かったのかどうか私は今もわかってないんですが、とりあえずこの作品を読書するにあたって行なった全ての行為を総括すれば、良い作品でした。この作品を読むにあたって私は学校をサボり熱海行きに乗って茅ヶ崎駅まで行こうとしたので。まあ私はこの作品にエモバトルで勝利したのでなんでも言えます。こちとら雲ひとつない青空と這い渡る朝霧に挟まれた朝六時の宇都宮線上りに乗って休日登校をサボり読んだんだぞ。俺のエモさに叶うやつなどおるまい。フハハハハ。エモの過剰摂取で死ぬかと思ったわ。休日朝の静謐な浦和駅は最高でした。品川駅の鉄道唱歌も最高でした。

 いや感想の出力としては全くもって良くないんですけど。でも読書感想文に求められているのはその作品と読者の自己との相互作用であるはずなのでこれも一つの感想の形式だと思うのです。まあさすがに運命感じすぎたからな。

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5.愛とか恋とか、くだらない。

 にゃーん!!

 一般向けラノベのエロというものはピロートークでしか書けない関係性を書くためにあるんだよ!! 

 ヒロインが超絶可愛い。天真爛漫な顔とやってることのギャップがエロかわですよね。普段はどちらかというと手玉にとってきて前戯でも上位にいるのに本番では鳴かされちゃうの超可愛い。共依存性の高い関係良いですよね。「状況的に相手しかいない」はもちろん良いが「その人以外にする相手が無自覚に考えられない」とかも共依存性が高くて大好きです。

 主人公も好き。ラノベ主人公らしさを消さずに童貞臭さをうまく消している。比較的暗めな主人公が女子との会話ではキョドらずにいてくれるのは個人的にとても嬉しい。私の理想のラブコメ主人公のうちの一つですよ。特にヒロインの可愛さを強調するなら主人公は常にパーフェクトコミュニケーションしてるくらいでいいんです。

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6.餓える紫狼の征服譚

 買ってから長らく積んでたけど2巻出るらしいので読んだ。モチベ高いと過去に積んで残した作品でも2巻出るタイミングでもう一回読もうと思えるから良いですね。モチベと余裕大事。

 さて、パッケージからは見えないですが、異世界ものです。とはいえ今のところ異世界らしさを前面に押し出すことは少なく堅実な領地経営を行なっている感じなのでパッケージとしてそこまでミスや裏切りを感じることはないです。世の中にはスローライフとか言いながら目立つ行動する異世界人が多すぎるんですよ。文明レベルに耐えられないなら最初からそんなもの望むんじゃないよ。

 感覚としては「異世界人としての能力」「異世界に来てから身につけた傭兵としての能力」「仲間の能力」でちょうど三等分される感じ。主人公が自己分析上手なのでできることだけやってできないことはできるやつに任せてくれるから読者としても読んでて好感度が高いんですよね。んでヒロインもみんな有能だし可愛い。

 まあ2巻のあらすじ見る感じなんかは起こりそうだなという印象なので楽しみですね。近々読みます。

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7.【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう 3

 あら〜^^。

 相変わらずこの作品巻を増すごとに面白くなってくる。一巻で別に何人も出てきたわけでもないのに「キャラを増やす」っていう安直な選択肢を3巻まで引っ張れるの強くない?今考えるとお嬢様とコメントだけで大抵の物語を構築できてた1,2巻やばいよな。しかもヒロインを増やすことで親友ちゃんに火をつけ表に立つ激アツ展開に結びつけるの素晴らしい。いや明言されたわけじゃないけど。でもこの親友ちゃんは絶対独占欲感じてると思うんよね。

 しかし「巻を増す毎に面白くなる」って基本的に世界観の広がりとかキャラ数の増加によるわちゃわちゃとかそういうものを指す単語なはずなのにこの作品ときたら世界観はほぼ変わらずキャラもようやく増えた状態なのなんなんだよ。単純なやることの規模のインフレと発想の斬新さだけで勝負して前巻を超え続けるのエグすぎる。さすが赤城大空。まあでも本職の配信者も同じことやってると考えると頭が下がりますよね。初見のインパクトを越える驚きを提供し続けないと配信者としては安定で止まってしまうという話でもあるのかもしれない。

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8.捕食者系魔法少女 1-2

 こちらもずっと積んでたけど2巻出たので読んだやつ。こちらは2巻も今月読みました。実は1巻範囲くらいまで昔webで読んだんですよね。

 さてこの主人公、象徴としての「聖女」のポテンシャルがありすぎる。まず圧倒的な力、旗印としての神秘的で清廉の象徴のようなビジュアル、その割にTS転生者故の距離感とミクロな世界を大事にする内面、自身は動かないという意味でのカリスマ性、全てが旗印に向きすぎている。蝶々に囲まれてるところの求心力高すぎるでしょ。あーーーこの主人公かわいいすぎる。世俗から切り離された幻想的な雰囲気が良すぎるんですよ。

 敵を倒し続けないと維持できない以上は新たな敵を求め続けるというのは極めて理に適った戦略なんですよね。問題はヘッドとなりうるのが主人公一人しかいないこと。指揮官が必要ですよ指揮官が。戦略級の作戦を一人で構築するのは無理があるから近いうち破綻が発生しますよ。

 ところでアズールノヴァちゃんがかわいい。私にとって正義とは人に向ける感情がでかいことを指すので。まあ人間に対する抑止力は必要だもんね。当たり前の話ではある。それはそれとしてろくに描写もされないサブヒロイン達がどいつもこいつもかわいいのでコミカライズに期待したい。

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9.全員覚悟ガンギマリなエロゲー邪教徒モブに転生してしまった件 2

 あまりにエロすぎる。私の公言してない方の性癖をドストライクで撃ち抜いてくる。自由意志の陵辱よりエロいものはこの世界には存在しないですからね。普通にこの作者に洗脳系か皮もののR18書いてほしい。洗脳悪堕ち寝取られ文脈描くの上手いんだよなぁ。

 つーか記憶を交換して互いの精神を陵辱し合うのエッチすぎません?精神の連続性は広義の記憶によってのみ担保されると思っているので記憶の交換は実質存在そのものを溶かし合う究極の一体化でありそれによる行動原理の捻じ曲げは他とは一線を画す尊厳破壊なんですよ。ところで自分の記憶が偽物でありアイデンティティが最大に揺らいだ状態で幹部と精神力対決して勝てちゃう主人公はなんなんだよ。アイデンティティ転生元型作品内転生の使い方として一巻では「意味のわからないことを素面で言えるので狂人扱いで嘘を誤魔化せる」という新しさが出てきたけども、2巻ではこうして転生後のアイデンティティの価値を引き下げることで異常な精神力の強さとしているのがまた新たな使い方という感じがして良いですね。

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10.がらんどうイミテーションラヴァーズ

 常々「零真似先生はいいぞ!!」と言ってきた私ですが、実は『まるで人だな、ルーシー。』2冊しか読んだことなかったんですよね。さすがに新刊読まねえのは嘘だろうということで新刊は読みました。他2冊も遥か昔から積んでるので暇を見つけて読まねばならないところではある。

 さて、相変わらずこの人の作品大嫌いだなというのが第一印象。でも面白いから読んじゃうんですよね。悔しい。僕は僕の感性を持ってこの作品に百通りの文句をつけることができるが、それは自己との対話という意味での読書として極めて正しいもののただそれだけでしかなく、この作品が傑作であることは何一つとして毀損できない。私は人間が嫌いでキャラクターが大好き。私は対称性の高い関係性が大好き。故に零真似先生のラブコメは劇毒。でも面白いから読んじゃう。三年前にルーシー読んだ時は「大嫌いなのに大好き」としか表現できなかったのにここまで詳細に出力できるようになった。でもこの作品を読んでいるとそんな成長すら良いものなのかわからなくなってくる。あまりにも「はじめまこと」というペルソナの健康に悪い。私はこの価値観でやってんだから揺らがさないでくれ。

 いやさ、現状評価と減点がお互いに無限大なので任意の実数を点数とすることができるんですよね。りんご飴投げるのカッコ良すぎる。つーかこの由衣とかいうヒロインがあまりにもかわいいすぎて。口説き文句ブッ刺さり。つーかどいつもこいつも人間性のキラメキに溢れすぎている。唾棄すべきキラメキだ。人間を書きやがって。つーわけでとりあえず点数としては、逃避行が入ったことと比較的共依存性の高い関係性に帰結したこと、そしてガガガ青春ラブコメをけちょんけちょんにしてたことを加味して+1000点程度とします。

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11.俺がモテるのは解釈違い

 これも積んでたものの崩し。この時期はこのラノ範囲ラブコメ30選の記事を書くのに必死だったのでたくさんラブコメを崩したんですよ。この作品は大当たりの部類。

 いやぁしかしハイスペック百合豚のセルフ脳破壊はいつ読んでも美味しいですね。妄想に閉じこもる主人公に無理やり現実を教え込む様はまさにわからせですよ。基本的にこの作品は「今どき百合営業でもここまでやらんやろとばかりの架空の百合(付き合ってない)を設置してそこにホイホイやってきた潜在的百合豚を捕まえて百合に挟まる男として拷問する話」です。

 まず序盤の逃走パート。普通に広義百合としても関係性が良い。その上で主人公が混ぜ込まれてもしっかり良い。ハーレムものを描くならヒロイン同士の交流を描けという話はちょくちょくしてるけど先にヒロイン同士の交流から描かれるのは珍しいですよね。

 そして中盤以降の追い詰められていくパート。なまじ前半で自分の中で適当に理由をこじつけて現実から目を背け続けているからこそ中盤以降ごまかしが効かなくなってくるところが輝いてくる。普通に女→男の恋愛感情描くのがうまいんですね。「恋愛関係になってはいけない相手から告白はされてないが明らかに好意を向けられている状態」のテンプレ的解決方法(解決しない)をそれぞれ試して全部無効化されてるの面白すぎる。三人ヒロイン出す価値がここで生まれてくるわけですね。

 ところでこの主人公あまりにも自分のみたくないものを見ないことが上手すぎてなんらかの障害を疑う。流石に外で雷雨なのに気づかないのはちょっとやばいだろ。この主人公の場合マジであり得そうな感じのリアリティレベルしてるからタチが悪い。「閃いた」も完全に自己防衛本能なんですよね。

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12.まきなさん、遊びましょう 1-2

 これも積読崩しですね。2巻出たから読んだやつ。いやあ面白かった。2巻すごく好き。今まで読んできたラノベミステリで二番目に好きです。一番目は『魔女の怪談は手をつないで。』オカルトミステリ好きか?いやオカルトミステリが好きというより私が好きなタイプのヤンデレが出てくる作品がミステリではオカルトミステリだっただけなんですが……。

 怪異と人間が混ざり合う感じの作品なんですけども、色んな意味で人間と怪異のどちらかが優位に立っていないのが特徴。怪異も怖いが人も怖いみたいな展開は結構好み。いわゆる「本当に怖いのは人間なのかも」みたいなのは少々醒めるので。強さ的にも人間意外と強いし。まあそもそも「銃で撃たれれば大概の怪異は死ぬ」とか言ってるしな。ミステリ面でも人間社会のルールとオカルトのルールが相互に状況を縛っていて良かったし、何より空気が基本的には人間世界のそれを踏襲しつつ根本的なところで倫理とかそういったものが破綻してる静かなカオスでとても大好き。

 ルールが相互に状況を縛ってるってのはあれですね。透明人間にお茶を持ってきてもらうことで怪異だけ驚かないから怪異とわかるとかそういうやつ。暫定正ヒロインであり現状まきなさん意外で唯一怪異側にいるヒロインである唯さんから戦闘能力を抜きつつ捜査に同行する名目を与えてるの普通に上手いと思います。

 そして何より妹ちゃんですよ。一巻最後のせいで先天性ヤンデレの可能性が芽生えた妹ちゃん。この世界は近親相姦ができるタイプの世界だからな。しかもこの世界には後天性ヤンデレの卵である唯さんがいるから先天性ヤンデレvs後天性ヤンデレのスーパーヤンデレ大戦が見れる可能性が残されてるんですよ。超楽しみ。それが許されるくらいにはこの作品は人間関係に対してカオスを許容している。

 よくみたら2巻読んだの今月だった。まあいいや2巻のが好きだからまとめてここに載せておこう。

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13.男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと 6

 長らく引っ張ったアイズベルト家の因縁が全て結実した巻。ここにきてかっこよさが前面に押し出さられるの強い。いや別に今までもすごくかっこよかったが。

 そもそもたった五人の間の因縁で4冊にわたってこれだけ濃密なバトルと人間関係の複合によるかっこよさを描き出せるのすごい。この巻なんか一日しか経ってないんだぜ?こういうところはやはり古の異能バトルに対するリスペクトを感じます。web発作品でわざわざ原作を改稿・加筆して一冊に当てはめにいくのは意外とレアケース。それはそれとして今日もスノウさんが可愛い。昨日も明日もスノウさんが可愛い。逃避行エンド見たいよぉ

 ヒイロくんが何かを失いながら人を救い続けるの大好き人間なので今巻なんか最強長ですわ。目の前のちっぽけな笑顔とか信念とか勇気に無限の価値をつけてそれに殉じることができなければ真の「救済者」とはなり得ないんですよね。そしてこいつは早く全てを救いそして救われろ。とっとと押し倒すんだバカども。ところで攻略のほぼ条件に「女として見られないこと」が入ってるの厳しすぎない?

 アルスハリヤさんがここにきて輝いてる。基本的にずっと戦ってる巻だからね。基本的にずっといるんだよね。嬉しい。後ろから抱きついてるアルスハリヤさん可愛いすぎるんですよね。ヒイロくんと肩を並べて戦えるヒロインは数多くいるがヒイロくんの理解者になり得るヒロインって少ないので。マジ守護天使。この作品肉食なヒロイン多いからみんな揃ってこいつを自分色に染め上げようとするんですよ。その点やはりスノウさんとアルスハリヤさんは強いですよね。緋墨ちゃんも可愛いけど。bookwalker特典ご馳走様です。

 つーかミュールちゃんやばいね。師匠二人がワルすぎてひどい方向に成長してる。というか糸使いキャラとして糸の多様なイメージをしっかり戦闘スタイルに盛り込んでるのが良い。将来謀略だけで海千山千な奴らと渡り合うミュールちゃんがとても見たいです。

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14.ちゃんと好きって言える子無双

 ノリが完全に「誰も消防車を呼んでいないのである!」じゃねえか。

 文体が甘いのが良い。こればかりは分析と定量化が足りてない僕が悪いんだけど文体には甘さってものがあってこれはキャラクターの可愛さとかカプの甘さ・尊さとかと別概念なんですがこれが高いと私はそのラブコメが大変好きになります。カプの甘さは僕にとってキャラクターの纏う空気の相互作用による双方のアイデンティティの侵食がその正体なんだけど文体の甘さは未解明なんですよね。「女の子を可愛く描くことを無制限に許容する世界観」とか「恋愛だけが物語の肝であることを暗示する世界観」とかそういう感じだろうか?とにかく空気の甘いんですよこの作品。

 まあ実際恋愛に踏み込もうとしないヒロイン共に対する制裁は必要ですからね。告白待ちとか最悪ですよ。この手のヒロインは常々「相手が自分と同じくらい恋愛というものを重要視している」という無意識の偏見を抱えているんですね。こいつらは「向こうはこっちのことどう思ってるのかな」としか考えないですからね。つまるところ「恋愛に対して無関心である」というキャラクターを付与された主人公を堕とすには相手のキャラクター=アイデンティティを捻じ曲げるほどのイベントが必要なんですよ。なんでこういう主人公に対して「待ち」に入ったヒロインは詰みです。そういう方向のラブコメならば物語の強制力により待つヒロインだけを出すこともできるけども、そうじゃなければこうなるのは必然なんですよ。

 一方で僕は過去志向ヒロインが大好きです。1vs1ラブコメにおいてはね。結局のところ僕は「双方向にアイデンティティを侵食していく過程」に尊さを感じるので、1vs1ラブコメにおいて双方が過去志向な感情を向け、相手の世界の全てを自分で満たしていく過程には最高の尊みを感じます。一方で、そもそも恋愛に興味のない主人公が総じてうっすら嫌いなんですよね。当然この主人公も。すでに堕ちたヒロインに攻略されていくのは対称性が欠如していますからね。双方恋愛に興味ないところから始まってお互いに惹かれていくのは大好物です。ところでさっきから私のカプ観『叛逆のドレッドノート』に影響されすぎでは?

 じゃあ恋愛に興味がないことをキャラクターづけられた主人公を堕とすにはどうすれば良いか?ってなると正答は「ある程度までみんなで挑む」なんですよね。物語上の結果論でもいいし意識して全員でアタックしてくなら大歓迎。だから共同戦線を張るのは正解なんですが、こいつらじゃダメそうですね。あまりにもラブコメ力が低すぎる。こうなったら三人で協力して監禁するか既成事実作るくらいしか勝ち目はないです。この主人公は真っ当な倫理観と恋愛観してるから既成事実作れば取れるよ。それもできないなら諦めてください。

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15.バズれアリス 3

 「アリスは、バズった」メロスパロディとしてあまりにも完璧すぎるだろと思ってたのにまだ続くらしい。メロスパロディとしてこれ以上をやろうと思ったらもうアリスちゃんが裸で抱き合い赤面するくらいしか残されてないぞ。脱ぐのか!?

 いやぁ3巻ありがたいですね。そしてここで終わらずに引きを作ったんだから続きは出せよ?いやオーバーラップ文庫の続刊率と編集部を信頼できなくなったらラノベ読み引退のお知らせなので伏して待ちますけど。

 ところでシェフ・ラビットちゃん可愛いすぎない?この人まじでweb版にいないんですか?もはや違う物語じゃん。いやまじでなんでこの人こんな可愛いの?本体男なのがバグなので本体の方がTSすれば何もかも解決でしょ。アリスちゃんとラビットちゃんに百合ップルに反対するやつはいねえよ。

 しかし付き合うどころか婚約しましたね。アリスちゃんも気付けば大人になっている。つーかそもそも21歳なんだけどね?アリスちゃんがあまりに21歳児だから目立たないだけでしっかり互いに大人同士だからね?酒とか飲んでるからね?そりゃあ結婚という話にもなりますよね。配信者だから遠慮なくはよ付き合え結婚しろと煽ってたらほんとに結婚しちゃったぜいえーい。ところで「あなたの運命が、今迎えにいきます」あまりにもカッコ良すぎる。これで完結させなくて大丈夫なの?

 全人類バ美肉化計画爆笑したけどしっかりVTuberものなんですよね。超変速だけど最初からダンジョン配信でVTuberものなんですよこの作品は。刊行遅いからまだ3巻だけど1巻でた時はちょうどダンジョン配信がカクヨムで大バズりしてたころだったからな。ほんとオーバーラップ編集部のスコップ力はどうなってるんだ。いやこれはOVLweb小説大賞発だけど。「ポーター令嬢」でも思ったけどこの作者一見テンプレをなぞって書きたいものを書いてるように見えてその実ちゃんとテンプレに対して真摯に取り扱うんだよな。

 ところで茨城県民はいつだって茨城県ラノベを大募集しております。鉾田メロン案件とか笠間栗案件とかあの辺だと蓮根とか茨城の農産物使ってくれると嬉しい。

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16.昔の男友達と同居をはじめたら、実は美少女だった 2

 一巻の時から思ってたけどやっぱこの主人公はダメです。これほどの据え膳を食らわぬは未代までの恥と思え。殴るぞ殺すぞ地獄に七遍送るぞ。でもヒロインが超絶可愛いので許します。終わりよければ全てよし。誰かが言ってた「お互いに崇拝しすぎ」はもちろんそうなんだけどヒロイン側はそれを乗り越えてこんなに可愛くなってめちゃめちゃアプローチかけてきてるんだぞ。お前の自己肯定感が低いのは知らねえよ少しは相手の言うことを信じて見ろよ。まあ最終的に付き合ったから許すけどさぁ!さぁ!!!

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17.貞操逆転世界のたばこ事情

 貞操逆転世界の何が良いか。まずヒロインが可愛い。これは大前提。「現代のオタクはもはや美少女ではなく性的魅力のある男友達が好き」って誰かが言ってたけどまあある程度真理だと思いますよ。可愛いもんオタクっ子ちゃんとか。そりゃあ当然貞操逆転世界の女の子達も可愛いわな。んで主人公も可愛いんですね。女子からは普通の世界で男子が女子に向けるのと同じような感じで見えてますからね。そりゃあお前男の趣味に理解があるどころか全力で傾倒しててめちゃめちゃ無防備なのにたまにとんでもないあざとさかましてくるダウナーお姉さんいたら超可愛いだろ?見えてくるんですよ主人公がそう言う風に。この作品の場合主人公の恋愛スキルが低い上に変なところで身持ち硬いから大変いじらしい。

 初手で「どうせ顔を覚えられてないだろうから適当なサークルの新歓に入っては勝手に飲み食いして勝手に脱走した」とかいう主人公それだけでかなり強いじゃん。こう言うことをする大学生のお姉さんを想像してみなさいよ唆るでしょう?しかも塾講師やってんだぞ?反則級に可愛いだろ?貞操逆転ものであると言うだけで主人公を無限にあざとくできるんですよ。ずるい。

 まあそれはそれとしてヒロインが可愛い。可愛いすぎる。湿度高くて好きなんですよ。こんな可愛いヒロインをポンポン作り出してそのまんまとかあんまりじゃないか。可愛いヒロインの不法投棄はやめろ。なんだかんだで大体回収してくれたけどさ。やっぱハーレムものの醍醐味ってヒロイン同士の絡みにありますからね。まだまだ導入段階という感じなので続刊に対する期待値めちゃめちゃ高い。

 しかしこんな主人公に振り回されてかわいそうに。いや可愛いけど。この主人公の無自覚な爆弾に振り回されて恋心暴走させられるヒロイン達が最高に可愛いです。この主人公魔性の女すぎる。まあでも性癖に合わないんじゃ仕方ないかもしれない。ヒロインたちはこいつの壁をぶち破れるのか。

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18.壊れそうな君と、あの約束をもう一度

 良い幼馴染ですよ。良い過去志向ですよ。幼馴染という関係性によく向き合っている。そもそも「約束」ってのは過去志向なんですね。んで「嘘」ってのは過去を勝手に変更しようとする行為な訳で、つまるところ過去志向な関係性にとっての劇薬なんですよ。これは幼馴染が疎遠になる理由の半分が嘘であることからも明らか。ちなみにもう半分は引っ越しでありつまりは環境が停滞を許してくれなかったパターンであるわけですね。

 幼馴染って安定の象徴みたいな扱いされてるじゃないですか。あれ真っ赤な嘘です。実情は全ての過去を現在に送り続け、常にお互いの世界をお互いで染め上げ続けなければ維持できないマグロみたいな関係性です。固定点ではあるけど不安定固定点なんですよ。だから数多の幼馴染は約束で互いを縛り続けるわけですが、それはそれとして不健全な関係なので破綻するわけですね。僕はそういうところに共依存性を感じて幼馴染が好きになってるわけですよ。関係性って不健全であるほど良いですからね。でもやっぱデフォルトで不安定な関係ほど続いてれば深い関係になって良くないですか?

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19.異能学園の最強は平穏に潜む 4

 バズれアリス同様オーバーラップの新刊待ち望んでた枠。いやマジで今の続いてる学園異能でこれより面白い作品ないって。よう実パロディは少し身を潜めてきたからむしろ勧めやすい?

 いやぁようやく引っ張られてた謎のいくつかが解明されたわけですがここまで嘘だらけだと私としても何を信用すれば良いのか。つーか一緒にそれ以上の伏線をばら撒かないでくれます?そういう隠蔽工作なんですか?伏線三つ回収すると同時に10個くらい伏線ばら撒かないでよ。いやまだまだ世界観は膨らんでく最中なんでしょうけど。

 しかし朝比奈さん表紙でどんどん後ろに追いやられてて面白かったのにしれっと正ヒロインみたいな顔してますね。雨森くんが実力を隠す必要がなくなる=ヒロインレースの口火が本格的に切られるなので多分ここまでがプロローグなんだろうな。続刊出てほしい。オーバーラップ文庫を信じたいけどこの段階でコミカライズ始まってないと厳しいのではという感覚もあり。ままならないですね……。

 ところで前々から思ってたんですけどこの作品のメロブ特典明らかに特典で明かして良い情報じゃないものバチバチに入ってますけど大丈夫なんです?

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20.アメリカ帰りのウザかわ幼なじみが今日も俺を踊らせてくる

 今すぐ主人公を「超絶可愛いヒロインに目を向けてない罪」で逮捕したい。ヒロイン二人ともとんでもなく可愛いのに主人公が恋愛というか他人に目を向けてる余裕がないせいで可愛さの描写量が圧倒的に不足してんですよ。お前仮にも一人称主人公貼ってんならもう少し頑張れよ。お前の幼馴染は超絶美少女で向けてくる感情も超絶可愛くて俺たちはお前の視点を通さないとその可愛さを摂取できないんだからもっと語りを頑張れ内面語りに逃げんな。いや主人公がそんな状態だからこそヒロイン二人が遠慮なくデレることができるから可愛くなるというのはあるかもしれないけどさ。

 理解者ヒロインが二人いるって面白いですよね。幼馴染と相棒それぞれが遺憾無くその理解者っぷりを発揮していてとても可愛い。セリフ回しが完全に熟年夫婦のそれなんですよ。というか主人公もヒロイン二人も日常会話として明らかに過剰量の糖分で会話してるんだよ。恋愛感情ほぼ公言してるヒロイン側はともかく主人公はお前それ喋ってて恥ずかしくないの?恥ずかしくないなら早く恋愛しろよ。

 キャラクターといえば、この作品パッケージからは想像できないくらいキャラが「濃い」んですよね。特に初登場時が強い。ヒロイン二人も友人キャラも初手で強烈なキャラクター一本で作品に惹き込んでくる。僕は元来舌がジャンキーなのでどうしてもこういうキャラ濃いめ勢い強め糖度マシマシな濃厚こってりラブコメを高評価してしまう。友人キャラが「女性限定グッズのために女装してイベントに入り込む」とかいうキテレツ人間だぞ。主人公だけやたら脱臭されてるけどね。

 ところで、サブヒロインの出番を後十倍増やしてください。メインヒロインの方は一巻の終盤でかなり出番増えたから許すけどサブヒロインはマジで魅力に対して出番が少なすぎる。2巻まだ読めてないので大変楽しみですわよ。このサブヒロイン現状ヒロインと第二主人公を行き来してる感じですがはてさてダブルヒロインものになるだけの魅力を2巻で出してくれるか。個人的に大好きなので応援したい。

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 というわけで先月面白かった20作品のレビューでした。今月はレビューした作品が半分超えたので当たりの月ですね。というか既に総文字数が13000文字を超えている。今月は本当に面白い作品ばかりだったんですよ。よりによって長期間の積読を崩した月にそういうことが発生すると他にも傑作を積み残してるんじゃないかという不安が沸々と湧いてきますね……。